遮断機

 カァン、カァン、と。
 遮断機が音を立てています。

 その前に一人の女の子がいて。

 カァン、カァン、と。
 遮断機がけたたましく鳴ります。

 何かに不満があるのでしょうか、そんな顔で。

 カァン、カァン、と。
 遮断機が夜に音を響かせます。

 でも何もかもを諦めたような、そんな顔で。

 カァン、カァン、と。
 遮断機が警告を叫びます。

 ボロボロの体で、ボロボロの足で、ボロボロの服で。

 カァン、カァン、と。
 遮断機が列車の到来を伝えています。

 フッ、と、少しだけ笑って。


「……この先に、別の世界があるのなら」


 カァン、カァン、と。


「私、それでいい……」


 遮断機が



       列車が



            通り過ぎるまで





                      鳴り続け





                            ました。













 カァン、カァン、と。
 今日も遮断機は鳴り続けます。
 例えソレが、無意味でも。
 遮断機は、鳴り続けます。


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 元は「しゃだんきのむこうがわ」というタイトルで作ろうかどうしようか迷って作らなかったゲーム案。
 遮断機をくぐると別世界があって、そこで広げられるお話、という、ローテンションなゲームの予定でした。
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